こんにちは、牧野直子です。
イソップ寓話に、北風と太陽というお話がありますよね。
ある日のこと、
北風と太陽が言い争いをしていました。
北風は、
「僕はなんだって吹き飛ばせるんだ!
一番強いのは僕だ!」
太陽は、
「確かに君には力がある。
でも一番強いのは僕だよ」
と、どちらも引きません。そこで、力自慢をすることとなったのです。
「じゃあ、あそこに歩いている旅人の、
服を脱がせたほうが勝ちってことにしよう」
まずは北風から始めました。
「あの旅人の服を吹き飛ばしてみせるよ」
と言いながら、「ビュー!」と、
冷たい風を旅人に勢いよく吹き付けました。
そしたら旅人は、「なんて寒いんだ」
と言いながら、更に一枚、服を取り出して、
今の服の上に重ねて着込んだのです。
それでも北風は負けまいと、
「ビュー!」と、冷たい風を旅人に吹き続けました。
しかし、旅人は、飛ばされないように、
服をしっかり押さえ、体を前かがみにして
歩き続けたのです。
北風は、とうとう諦めました。
「こんどは僕の番だ」
太陽はそう言うと、まず、ポカポカと暖かく、
そしてやさしく照らしました。
旅人は、「ポカポカといい陽気になってきたぞ」
と、重ね着していた服を1枚脱ぎました。
そして、太陽は、更にやさしい日差しを当て続けたのです。
歩いていることもあり、旅人は汗ばんできて、
ちょうど川沿いがあったので、一休みすることにしました。
太陽はその時、ここぞとばかり、
ジリジリと強い日差しで
旅人を照りつけ始めました。
旅人は、「こりゃたまらん!」と言って、
服を全部脱ぎ捨て、目の前の川に飛び込んだのです。
北風と太陽が、旅人の服をどうやったら脱がせられるか、競争をした、という有名な物語。
力ずくで必死で引き飛ばそうとしても、抵抗してますます大変になる。でも、温かくポカポカ太陽を照らせば、旅人は服を脱いでいく。しかも、いい陽気になってきたぞ!とイヤな思いをしていない。
というのがミソですよね。
命令や強制では行動を促しにくい
このお話、実に行動をどうやって起こすかを、表していると思います。
〇〇しなさい、ではなかなか人は動かない。直接、言葉で強制するのではなく、そうしたくなる環境を上手に設定した、ということ。
この、そうしたくなる環境を設定する、ということが、デザインの力でできないかなって考えています。
なぜ啓発キャンペーンは、人が動かないんだろう。
よく節電しよう!、ポイ捨てをやめよう!健康のために歩こう!選挙に行こう!
など、啓発をうながすポスターやキャンペーンってありますよね。
そうしたらいいのはわかってるけど、それを言われたぐらいじゃ、なかなか人は動かない。
啓発キャンペーンの多くは、「どちらかというとやりたくない」行動。
節電だって、地球にとっては大切で、そうしたらいいのはわかってるけど、あまり自分ごとに感じない。それよりは、暑い日にはエアコンつけて涼しくいたい、というのが普通ですよね。
でも、それを「クールビズ」のように、半袖で会社に行ける環境を作ることで、結果節電につながっている。方法をひねって、結果、求められる行動につながるような環境設定。
そんなデザインを考えていければ、と思っています!
そしてその内容を、50ページのPDFにまとめていますので、良かったら見てくださいね!