こんにちは、牧野直子です。
建築が持つ力がわからない
私は、一級建築士として、建築の設計をしております。独立開業した当初、集客の勉強をしていた手前、その理論を設計に落とし込み、こうすれば集客できるはずと、お店の設計をしたのですが、その後、1年もたたず閉店されてしまったことがあります。
結局、経営するのは私ではないですし、引き渡してしまったら、どうすることもできない。
お客様に、より快適に、より素敵な時間を過ごしていただけるように、店舗の設計を行っても、それはあまり力のないことなんだなと、深く落ち込んだものです。
また別の時は、集客の知識を建築に落とし込んで、ある店舗を設計させていただきました。
そのお店は大繁盛をしていくようになったのですが、その経営者に、言われました。
繁盛しているのは、経営者の努力であって、設計の力ではない、と。私が自分の例を事例に、集客アドバイスを売りに設計をしているということが、気に入らないとのことでした。
またある時は、集客アドバイスを、建築士なんかから聞きたくない、と友人の経営者から聞かされました。もし集客アドバイスをしたいなら、建築士と言う肩書は邪魔でしかない、とまで言われたんです。
そんな流れから、私は、建築に力はないのだろうか。建築士という肩書があるからいけないのだろうか、自問自答を繰り返す日々だったのです。
一筋の光
そんな思いを持っていたとき、一つのデザインの存在に私は魅了されました。
それが、これです。
あ、でもこれ、何のデザインか、よくわかりませんよね。
これは、実は灰皿のデザインです。
これが投票箱になっていて、上に書いてある質問に、自分が賛成するほうに、タバコの吸い殻を入れるというもの。
例えば、世界一のサッカー選手は、ロナウド、メッシどっち?
みたいな質問が書いてあるわけです。
そして、喫煙者は、自分が思うほうに、吸い殻を入れて投票するんです。
ポイ捨てが劇的に減った
この灰皿のおかげで、ポイ捨てに困っていたロンドンでは、劇的にポイ捨てが減りました。町の美化にとても貢献したそうです。
行動を変えるデザイン
これを見て私は、
デザインが、人々の行動を変えた!デザインにはとても大きな可能性がある!
と希望を持つことができました。
そして、行動を変えるデザインって、他にどんなものがあるだろう?
と、もう一度、建築やデザインに対する熱が沸き上がってきたのです。