こんにちは、牧野直子です。
モンテッソーリ教育に学ぶ、幼児教育のための空間デザイン
という高橋節子さんの講演を聞きに行ってきました。
こども環境学会が主催された講演。会場は、こども環境学会の代表理事をされている建築家の仙田満さんの設計事務所のビル。
セミナーができるぐらいの場所があって、すごいな~。まわりに、とても大きな模型がいくつか置いてありました。これが本格派の設計事務所だね。。
モンテッソーリ教育と建築、家具との関係について
モンテッソーリ教育は、教具と呼ばれるものについて、子供たちの自由にまかせてお仕事をさせる、ということをよく聞きます。
モンテッソーリ教育における、建築、設備、家具、道具など物理的環境との関係性って、めちゃくちゃ気になるやん。とうことで行ってきたんです。
講演者の高橋節子さんもおっしゃっていましたが、建築は建築、教育は教育と切り離されていることがほとんどだけれども、同じ問題でも他分野間の堺がなくなるような研究が可能だと。
例えば、子供の貧困であれば、医学、経済学、教育学、栄養学、建築学、、、とさまざまな研究ができる。
だから、教育についても建築を切り口に研究したのだとか。そこは私も同じ意識でいる。
幼稚園建築で有名な、ふじようちえんも、モンテッソーリ教育の幼稚園。見学にいったとき、園長先生が、建物もすべて、こどもたちの教育になるように考えて設計してある、とおっしゃっていた。
すべてが教育。子どもたちが学べる環境を作ること、そうやって園舎を作られているのです。
モンテッソーリは建築においてもイノベーター
講演の中で、すごいなと思ったのは、モンテッソーリは幼稚園建築のイノベーターだったということ。もちろん、設計は専門の建築士だけれども、建築士は教育者の思想を代弁するものだからね。
それまでの幼稚園は、ヨーロッパの教会のように、固定された長いベンチがいくつも連なっているスタイル。
動きまわってしまう子供を一番中に座らせて、大人しくしている子をベンチの外側に座らせていたのだとか。
そのスタイルに、「子供の動きを抑制している、まるで奴隷みたい」、といって、モンテッソーリは現在の保育園でみられるスタイルに変えたのだそうです。
現在の保育園の建築スタイルの前衛
たとえば、
大きな保育室に、子供が持ち運べる机とイスを並べた。
色彩を使って、子供の行動をわかりやすくした、とかね。
こういった改革を行った。
やっぱりそういう最初に改革をした人ってすばらしいですよね。
1932年に建てられたウィーンのゲーテホーフ幼稚園の建築スタイルを事例に、モンテッソーリ教育と建築、家具などの関係をご説明いただきました。
おままごとではなく、ホンモノにふれさせる
モンテッソーリは、教具によるお仕事が有名だけれども、「日常生活の練習」というもう一つ大きな課題もある。
そのために、おままごとではなく、ホンモノの作業ができるよう、でも子供なので、操作はシンプルに、軽く、といったことが考慮され、保育室につけられていた。
家具にフィードバックさせる
面白い視点は、フィードバックがあるように作る、ということ。
どういうことかと言えば、テーブルは、色の濃い赤いテーブルにしてみる。子供たちに日常生活の練習の一環で拭き掃除をさせる。色の濃いテーブルだと、掃除した場所、していない場所が、すぐわかる。
これが家具にフィードバックをさせる、ということらしい。
保育室から、すべての行為がつながるように
また、保育室のつくりとしては、保育室から園庭、食堂、洗面、居間がつながっていることが理想、とされた。
けれども、それができない場合は、ひとつの大きな部屋の中にそのすべてを入れられるようにしていた。
ゲーテホーフ幼稚園は、保育室が2Fにあって、園庭と結べないから、保育室の中に、ホンモノの花壇を作ったりしていた。部屋の中に洗面台や物干しざおを作ったりしていた。
午睡用のマットもパーテションのようにたてかけてあったり、面白いな、と思った。
床の色分けにより、動作もわかりやすくもされていた。
教育と建築が協業された環境づくり
教育と建築が協業された環境づくりを推進していくなかで、モンテッソーリ園の作り方は、とても参考になりました。